●永楽館


 永楽館は兵庫県豊岡市出石にある、近畿最古また現地に現存する芝居小屋としては日本最古とされる劇場建築である。出石の染物商、小幡家の11代当主久次郎により建設され、 「永楽館」の名称は出石城主仙石氏の家紋「永楽銭」に由来している。

 明治34年(1901)に開館し、出石はもとより但馬の芸能文化の中心となり、歌舞伎、新派劇、落語の上演のほか、宝塚歌劇団の公演なども行われ、時代の変化とともに映画館としても使われるようになった。しかし、テレビの普及や娯楽の多様化などにより昭和39年に閉館、一部をパチンコ店にしたりもしたが、それも休業し、間もなく閉鎖された。

 1989年から「出石城下町を活かす会」によって、コンサートなどでの使用が再開され、1998年に出石町の文化財に指定され、2006年から豊岡市によって復元工事が開始された。2008年夏に工事は終わり再び芝居小屋として甦った。その年の8月1日、関西歌舞伎の片岡愛之助らによるこけら落とし公演が行われた。

 出石の貴重な観光資源として多くの観光客を集めるとともに、歌舞伎、落語、舞踊などの上演が活発に行われている。上演時は館内の見学はできないのであらかじめ開館日を調べておくとよい。永楽館へのアクセス、開館日、入場料などの詳細は永楽館のHPに詳しい。

 永楽館のHP:http://www.izushi-tmo.com/eirakukan/

○10年前の永楽館

  
 「EIRAKU」の文字はパチンコ店だった頃の名残である。

  


  


  
 壁の漆喰は剥げ落ち、ガラスも割れるなど建物の荒廃はかなり進んでいた。

  


  
 永楽館内部の写真。入り口の扉のガラスの破穴から撮ったもの。まるでゴミ捨て場であるがそれが今では・・・・・・。


○現在の永楽館

  
 永楽館全景。道路に面しているので劇場としては車の騒音が気になるところ。

  
 昔の芝居小屋らしく、太鼓櫓がある。

  
 本来の入り口はここであるが車道に近く危険なので、建物の左側に新たに設けられている。

  


  
 空色の窓枠がレトロな雰囲気を醸し出している。ただしこの窓枠は小学校に使われていた窓枠の流用でオリジナルではない。

  
 玄関には歌舞伎の絵が飾られている。

  
 舞台には廻り舞台、セリ、太夫座、花道、すっぽん、奈落など歌舞伎上演に必要な機構はすべて備わっており、小さいながらも本格的な劇場である。

  
 奈落(舞台下)への入り口

  
 廻り舞台は昔同様人力で動かす。頭が当たっても怪我しないように空色の緩衝材が取り付けられている。

  
 廻り舞台の機構。元々はすべて木組みであったが実用に供するため鉄骨で補強されている。

  
 花道の下は通路になっている。花道にはスッポン(セリ)が設置されているがこれも人力で操作される。

  
 舞台の上奥は役者の化粧部屋になっている。下は大道具の置き場である。上演時には幕で仕切られ、客席からは見えない。

  
 化粧部屋の内部 楽屋の柱、板壁には出演者達が残した落書きが数多く残されており、楽しい。

  
 上が太夫座、下が囃子場である。

  
 昔の看板もそのまま復元され、華やかな芝居小屋の雰囲気を盛り上げている。

  
 二階席 床板は当時のものが使われているが、床板の表面はよく磨耗しており昔の賑わいを偲ばせる。

  
 2階席から見た一階客席と舞台。館内は狭く収容人数も368名と少ないが、客席と舞台が近く、都会の大劇場にはない雰囲気が味わえると観客には好評である。

  
 館の裏側は出石市街地に続いている。周辺には寺、武家屋敷などの古い建物が多く徒歩での散策が楽しめる。北近畿屈指の観光地でもあるので町並みはよく整備されており、古い芝居小屋としての立地環境はたいへん良い。